スペシャルインタビュー

雑誌「Pen」特集連動アプリ開発インタビュー

雑誌「Pen」の特集『キリスト教とは何か。』の書籍版発売を記念して制作されたiPadアプリの開発背景を伺いしました。

株式会社アマナイメージズ
営業本部営業企画推進室  販促マーケティング部 マネジャー

上谷 玲子

iPadアプリ導入の経緯

Q.iPadアプリを企画した背景と目的を教えてください。

上谷:弊社では2010年7月から1年に渡って、ビル・ゲイツが創設した米国コービス社のキャンペーンをWebサイトで行っていました。
これはコービス社の約1億点にのぼるコンテンツの多彩さを1年がかりでプロモートしていくという企画だったのですが、その締め括りに「何か新しいメディアでプロモーションができないだろうか?」と検討していました。
ちょうどその頃、アプリが脚光を浴び始めていたので、iPadアプリを作ろうということになったんです。

内容については、最初はいろいろなアイデアが挙がったのですが、権利関係の問題などもあって、
最終的に「ベットマン・アーカイブを中心に構成する」ということで落ち着きました。

Q.どのような利用者を想定されたのでしょうか?

上谷:当初はエディトリアル(編集関係)のマーケットを想定していましたが、実際には広告なども含めて、写真を使うクリエイティブ関係のお仕事をされている方に広くご利用いただいています。
今後、弊社を利用したことがない方も取り込んでいければと考えています。

Q.無料での提供になりますが、このアプリを通じて、写真の購入促進を検討されたのでしょうか?

上谷:はい。「購入サイト」へのリンクボタンを設けていますので、ご覧いただいた写真をすぐに購入することができます。
今回のアプリでは、弊社でこのような写真の販売を行っていることを知っていただくのも目的の1つでしたから、多くの方に認知していただけてよかったなと思っています。

iPadアプリ企画について

Q.写真という領域では、すでに多数のアプリが存在していますが、企画をする上でどのような点で差別化を考えましたか?

上谷:今回は東京都写真美術館学芸員の中村浩美さんに監修をお願いして、100点の写真を「発見と発展」「戦争の世紀」などの5章構成で紹介する形にしました。
すべての写真に中村さんの解説がついていて、写真展のように時代背景やシーンを押さえながら楽しむことができます。
もちろん、トップ画面から好きな写真を選んで見ることもできますし、年代順に見ていくことも可能です。

また、ベットマン・アーカイブの大きな特徴の1つが、写真と動画がセットで保存されていることです。
「硫黄島に星条旗を掲げるアメリカ海兵隊」などの24点の写真については貴重な動画も一緒に収録しました。

Q.企画の中で生まれた意外なアイデアなどがあれば教えてください。

上谷:ツイッターと連動させ、ユーザーがそれぞれの写真について、感想などをツイートできるようにしました。
リリース前は「ネガティヴなツイートが多かったら、どうしよう...」と少し心配だったのですが、フタを開けてみたら、とても真面目なツイートばかりで、ふざけたものやネガティヴなものはほとんどありませんでした。

どの写真にもまんべんなく反応があったことも担当者としては嬉しかったですね。

Q.どんな点に苦労されましたか?

上谷:弊社のストックフォトは広告使用が中心ですが、コービス社の写真にはケビン・カーターの「ハゲワシと少女」などの報道写真が数多く含まれています。
それで今回は「どこまで報道寄りの写真を取り上げるのか、あるいは広告写真のみで構成するのか」といった社内の意見調整が大変でした。
それから「時代をどう切り取って、いかに100枚に集約するか」という点にも苦心しましたね。

いちばん悩んだのは、東日本大震災の写真でした。
ちょうどこのアプリの制作中にあの震災が起きたので、ぜひ入れたいと思ったのですが、被災された方々が「見たくない」と思われるような写真にはしたくなかったですし、「元気になろう!」というようなメッセージ性のある写真はプロモーション用としての使用許諾が取れていないケースが多くて、納得のいく写真に辿り着くまでにとても時間がかかりました。

どうも、ありがとうございました。