スペシャルインタビュー
「メイドカフェ・プロジェクト」運用委託インタビュー
秋葉原の老舗メイドカフェの会員向けアプリ「あっとほぉーむアプリ」と、それに付随するバックエンドシステムの運用委託にあたり、これまでの経緯と、今後期待することについて伺いました。
スペシャルインタビュー
秋葉原の老舗メイドカフェの会員向けアプリ「あっとほぉーむアプリ」と、それに付随するバックエンドシステムの運用委託にあたり、これまでの経緯と、今後期待することについて伺いました。
インフィニア株式会社
代表取締役社長
深沢 孝樹
取材/2021年4月
― 御社が手がけるエンターテインメントカフェの特徴についてお聞かせください。
深沢:「メイドカフェ」と呼ばれるサービス形態が秋葉原に登場したのは2002年頃で、「あっとほぉーむカフェ」は2004年に当時の親会社が立ち上げました。その頃のメイドカフェは、いわゆるオタクの人を対象にしたコンテンツで、コミケ(コミックマーケット)で手に入れた戦利品を店で広げ、店員も一緒にオタクトークで盛り上がるという、まさにオタクの集まる場所でした。
でも、「あっとほぉーむカフェ」は、せっかくならオタクだけではなくどんな人でも楽しめて、女性や子どもでも入りやすい場所にしたいと、当時の社長が考えていました。オープンした2004年は、ちょうどAKB48がスタートした年で、現役のメイドたちが音楽ユニットを立ち上げ、店内のBGMとして歌を流すなど、エンターテインメント志向なメイドカフェの先駆けとなりました。その流れは今も受け継がれており、女性や家族連れ、海外からの観光客も含め、老若男女が楽しめる場として運営を続けています。
― リピーターも多いようですね。
深沢:延長なしの1時間制というパッケージですが、それを1回の来店としてカウントすると、秋葉原店だけで年間50万人、1ヵ月で約4万5千人の来店があり、そのうちの1万が初めて来店する観光客、残りの3万5千人がリピーターです。
地方からいらして1日に何度もリピートする方、土日は朝からずっといるファンの方もいて、月に訪れるユニークユーザーは6~7千人くらいです。もちろん、毎月いらっしゃる方ばかりではないので、トータルのユニークユーザーはもっと多いです。
― 最初はバックエンドシステムの改修というお話からスタートしましたが、当時は、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
深沢:2017年頃に現在のWebサイトをリリースしたのですが、2010年頃のWebサイトの情報やブログなどを引き継ぎながらリニューアルを重ねてきたため、システムはつぎはぎ状態でした。
この6〜7年の間に、依頼したベンダーは4社くらい変わりました。1社に定着しなかった理由はさまざまですが、ベンダー担当者がすぐに変わって引き継ぎもなかったため、新担当者に当初の状況からすべて説明しなければならないということが続きました。主にWebサイトと会員アプリがあるのですが、なぜか各種情報が一元化されておらず、例えば新人メイドを登録する際に、サイトとアプリそれぞれに登録しなければならないなど、運用効率の良くない状態でした。
しばらくは、そのまま非効率な運用作業を続けていたのですが、やはり手間がかかるため、後から無理やり連動させたものの、データ差分などが生じてバグが積み重なった状態になっていました。
そういう状況が続き、社内のWeb担当にとってもストレスになり、いいものを作る、いい仕事をするのとは真逆のところで体力や神経を使わなければなりませんでした。でも、新しい会社に頼むとなると、時間とお金がかかるし、何とかこのまま継続できないかと模索したものの、結局、時間の無駄が大きく、一新することにしました。
たまたま知り合いがアップフロンティアさんにいたことから何気なく相談したところ、一度、要件を聞かせて欲しいという話になり、それまでの事情をすべて伝えて、お願いすることになったのです。
― 今は、どうでしょうか。
深沢:約1年かけてバックエンドを少しずつ改善してもらい、最近はバグもなく、「運用していて使いにくい」「手間がかかる」といった状況から脱することができました。ようやく前向きにものを考えられる状態となり、アップフロンティアさんには予算や優先順位といったこちらの事情も考慮いただきながら、いろいろご提案いただいているので心強い限りです。今までのベンダーは、月例会議でアクセス数などの報告はありましたが、こちらが求めていたのは、結果の数字ではなく、そのデータをもとに、今後、何をすればいいのかという課題の共有とその対策や提案でした。でも、そういうアイデアが出てきたことはありませんでした。その意味では、アップフロンティアさんは豊富な知識と経験、新しい技術に対する知見が豊富で、パートナーとして事業の方向性を見据えた上で、新しい提案をしてくれるので、安心して任せられます。
― 今後に向けて、どのような展望をお持ちでしょうか?
深沢:「あっとほぉーむカフェ」は、ファン同士が仲良くなって一緒に食事に行くような独自のコミュニティの輪が拡がっています。最初から意識していたわけではありませんが、自然とそうなってきています。
こうしたコミュニティ化をもっと促進していくことができないかと考えています。
「あっとほぉーむカフェ」ではグッズもいろいろ販売していて、ここ数年、Twitter上で、常連の人同士でグッズのトレードが盛んなのですが、そういう場をこちらから提供できたら、より面白いコミュニティになるんじゃないかとか、そんなことを妄想しています。
最近では私たちは、店舗というよりも皆が楽しく過ごせる"場"を提供している意識が強くなってきました。それは、お客さんはもちろん、従業員にとってもそうで、例えるなら毎日学園祭をやっている感覚です。
メイドたちが一方的にお客さんを楽しませるのではなく、体験するお客さんも働くメイドも両方が楽しめる場を創っていく。
飲食店の形態をとっていますが、私たちが追求しているのは“エンターテインメント”であり、楽しい時間です。その“場”を共有し、一緒に過ごすトータルの時間が楽しいものになるよう、いろいろ工夫しながら、新しいことに挑戦しているのです。
今後もエンターテインメントの分野で、私たちなりのやり方で、いろいろな“場”に新しい価値を生み出し、世の中の人たちを楽しませていきたいと考えています。
そのためには、IT…バックエンドシステム、Web、アプリというものは必須になってきています。
パートナーとしてアップフロンティアさんにいろいろ相談し、協力していただきながら、新しい可能性に取り組んでいければと思っていて、そこはこれから期待しています。
どうも、ありがとうございました。